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Topic-4

生物大量絶滅事変直後の生物相と地球表層環境

 ペルム紀末の生物大量絶滅事変直後に特異な石灰岩 (微生物岩) が発達することが,南中国での野外地質調査から明らかになりました.南中国では,斑状組織で特徴付けられる『スロンボライト』が顕著ですが,ラミナ状組織で特徴付けられる『ストロマトライト』も限られた地域に分布しています.
 これら微生物岩の構築・存在様式を検討する事によって,絶滅事変直後に特異な「生物相と海洋古環境」や「地球生物相の回復過程と遅延の原因」の一端が明らかになってきました.

微生物岩 (スロンボライト) の特徴

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ドーム状に成長したスロンボライト.

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 スロンボライトの研磨面写真.斑状組織で特徴づけられるスロンボライトが特徴的 (下位).生砕質石灰岩が,スロンボライトを削剥して堆積 (上位).

a.jpg岩石研磨面
b.jpg野外産状 (横断面)
c.jpg薄片写真

上方に伸びる樹状構造が明瞭なスロンボライト (Adachi et al., 2017)

スロンボライト中のペロイド状粒子


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 「スロンボライト」の光学・電子顕微鏡を用いた詳細な観察から,その形成に関与した「球状微生物類」の存在が明らかになりました.また,スロンボライトの主要な構成要素である「ペロイド状粒子」について,球状微生物類を含めた「微生物類の作用」との関係から成因を明らかにしました (Adachi et al., 2004).

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上) 球状微生物類の密集部.薄片の光学顕微鏡写真.下) 球状微生物類の電子顕微鏡写真.(Adachi et al., 2004)

南中国湖北省地域のストロマトライト

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 ストロマトライトの極めて良好な発達が,南中国湖北省において観察されます.それら「ストロマトライトのラミナ形成」には,微生物類の穿孔活動と穿孔跡への炭酸カルシウムの沈殿が関係していることも明らかになりました (Adachi et al., 2017).

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柱状ー層状タイプのストロマトライトの薄片写真. 明暗ラミナの集積によってストロマトライトは形成されている.暗色ラミナ (矢印部) には,穿孔性球状微生物類が密集する.左上) 穿孔性球状微生物類の電子顕微鏡写真.(Adachi et al., 2017)

<関連論文>

Adachi, N., Asada, Y., Ezaki, Y., Liu, J. (2017) Stromatolites near the Permian–Triassic boundary in Chongyang, Hubei Province, South China: A geobiological window into palaeo-oceanic fluctuations following the end-Permian extinction. Palaeogeography, Palaeoclimatology, Palaeoecology. v.475, p. 55-69.
EZAKI, Y., Liu, J., Nagano, T., andAdachi, N.(2008) Geobiological aspects of the Earliest Triassic Microbialites along the Southern Periphery of the Tropical Yangtze Platform: Initiation and Cessation of a Microbial Regime. Palaios, v. 23, p. 356-369.
劉建波,江崎洋一,杨守仁,王海峰,足立奈津子(2007) 贵州罗甸二叠纪末生物大灭绝事件后沉积的微生物岩的时代和沉积学特征. 古地理学报, v. 9, p. 473-486.
Adachi, N.,Ezaki, Y., and Liu, J. (2004) The fabrics and origins of peloids immediately after the end-Permian extinction, Guizhou Province, South China. Sedimentary Geology, v. 164, p 161-178.
EZAKI, Y.,Liu, J., andAdachi,N.(2003) Earliest Triassic microbialite micro-to megastructures in the Huaying area of Sichuan Province, South China: Implications for the nature of oceanic conditions after the end-Permian extinction. Palaios, v. 18, p. 388-402.