UA-29615907-2

Untitled

古杯類礁の消滅と微生物類礁の持続的繁栄


  カンブリア紀爆発と共に栄えた古杯類 (海綿動物) は,世界中の低緯度・浅海域に「古杯類礁」を発達させました.しかし,古杯類は,三葉虫の主なグループや小殻化石とともに,カンブリア紀第二世/第三世境界付近でほぼ絶滅しまいます.以降,オルドビス紀生物大放散事変とともに層孔虫やサンゴなどの大型造礁骨格生物が『骨格生物礁優先礁』を形成するまで,カンブリア紀第三世〜オルドビス紀前期の長期間,骨格生物は,礁の構築にほとんど関与せず,ストロマトライトやスロンボライトなどの微生物類が主要な礁が大繁栄しました.なぜ骨格生物は,主要な礁の形成者になり得なかったのでしょうか.「絶滅からの回復の遅れ」や「カンブリア紀の特異な海洋環境の存在」が指摘されてていますが,原因は明らかではありません.私たちは,「カンブリア紀生物礁の変遷様式」と「背後の海洋環境の変動」を解き明かすために,南中国や北中国, モンゴルなどから産出する生物礁を基に研究を進めています.

DSCN0436 のコピー.JPG

図2.jpg
南中国湖北省から産する古杯類−石灰微生物類礁.古杯類周囲を石灰質微生物類が被覆する

南中国から産出する「古杯類礁」

  南中国湖北省天河板層からは,古杯類と石灰質微生物類 (Renalcis, Epiphyton,Girvanella) によって形成された「古杯類−石灰質微生物類礁」が認められます (Adachi et al., 2014).古杯類は,石灰質微生物類が付着するための足場を提供しました.一方,石灰質微生物類は,古杯類表面や古杯類間の空隙を充填し,礁の枠組みを強固にする重要な役割を果たしていたことが明らかとなりました.
  南中国では古杯類を産する礁は,カンブリア紀前期Atdabanian に初めて出現し,lower Toyonian (天河板層など) の産出が最後です.Toyonianの間に古杯類を産する礁 (天河板層) から,微生物類のみの礁 (清虚洞層) へとその間に移り変わったことが明らかになってきました.


<関連論文>

Adachi,N.,Nakai, T., Ezaki, Y , and Liu, J. (2014) Late Early Cambrian archaeocyath reefs in Hubei Province, South China: modes of construction during their period of demise. Facies.v. 60, 703-717.
Adachi, N.,Ezaki, Y., and Liu, J. (2014) The late early Cambrian microbial reefs immediately after the demise of archaeocyathan reefs, Hunan Province, South China. Palaeogeography, Palaeoclimatology, Palaeoecology . v. 407, p. 45-55.
Adachi, N.,Kotani A., Ezaki, Y., and Liu, J. (2015) Cambrian Series 3 lithistid sponge–microbial reefs in Shandong Province, North China: reef development after the disappearance of archaeocyaths. Lethaia.